05:28 18-11-2025
フォード・フォーカスが欧州で生産終了、EV時代へ転換
フォード・フォーカスの時代に正式に幕が下りた。ヨーロッパ市場の象徴として約30年にわたり存在感を放ってきたこの車名は、ここで退役となる。27年のあいだに同社は約1200万台を生産し、メインストリームのハッチバックでこれほど強固な立ち位置を築いた例は、ほかに思い当たらないと32CARS.RUは伝えている。ただ、転機はすでに2022年に訪れていた。ブランドが電動化戦略への移行を公表し、このモデルの残り時間が限られていることを示唆していたからだ。
現在フォーカスは、ドイツ製MEBプラットフォームを採用する新型の電動エクスプローラーとカプリに実質的に道を譲る。長年フォーカスを組み立ててきたザールルイ工場は閉鎖され、その行方はいまも不透明だ。用地の買い手は見つからず、フォードも同拠点で新規プロジェクトを始める計画はない。地域にとっては痛手で、同工場は地元の重要な雇用の受け皿だった。
伝統的なモデルへの需要低下も、ブランドの存在感を削いできた。過去9年でフォードは欧州市場のランキングで、上位に迫る位置から12位へと後退。信頼回復に向け、欧州事業の新たなトップとしてジム・バウムビックが任命された。フォーカスやクーガに携わった経験を持つ彼には、欧州の購買者が求めるものに再び合致するラインアップづくりが託されている。
フォードは2027年投入予定のクロスオーバーで、この空白を埋める構えだ。初期の見立てではハイブリッドと完全電動の双方を用意するものの、クーガの直接的な代替にはならないという。成功の新たな処方箋を探る試みだと映るなか、フォーカスの終幕は、その道のりの最初の一歩に過ぎない。