02:26 19-11-2025
公道実測でわかったEVの実航続:70車種超を比較、23台が500km超
フランスの自動車メディアLargusが、公道での電気自動車大規模試験を実施。70車種超を走らせた結果、結論は数字が物語る。23台が一充電で500km超を達成した。机上のWLTP値ではなく、日常の走りに近い条件での実測だ。
先頭に立ったのはメルセデス・EQS 450+で、航続667kmを記録。大容量バッテリーと優れた空力の効果がはっきり表れた格好だ。続いたのはフォルクスワーゲンID.7 ProとメルセデスCLA 250+で、それぞれ588kmに到達。上位にはポルシェ・タイカン、フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジ、ヒョンデ・アイオニック6、テスラ・モデルYロングレンジ、起亜EV4といった顔ぶれも並ぶ。
一方で別の意味で目を引いたのがルノー・セニックE-Tech。実走では504kmにとどまり、WLTP公称620kmとの差が際立った。87kWhのバッテリーを積むモデルだけに、このギャップは気になる。
専門家は、これらの距離が「バッテリーの100%を使い切る」前提での数値だと念押しする。長距離移動では実際、使えるのはおおむね容量の70%前後に限られることが多い。それでも、実用上450~500km走れれば、都市部の普段使いなら数週間は充電なしで済み、遠出でも短いピットインを一度挟めば十分。大切なのは、読みやすい航続と過度な準備を要さないこと—ハンドルを握る側の安心感に直結する部分だ。
参加車種は広がり続けている。起亜EV3とEV4、シュコダ・Elroq、さらにはアウディA6やQ6 e-tronといったプレミアム勢も名を連ねた。とはいえ500kmの壁を越えられなかったモデルもある。プジョーe-3008とシトロエンë‑C5エアクロスは、73kWhのバッテリーを搭載しながら基準に届かなかった。
高速巡航は空気抵抗の影響で航続が3~5割縮む可能性がある点は強調しておきたい。だからこそ、効率はバッテリー容量と肩を並べる重要項目だ。EVは年々足を伸ばしているが、賢い選択はランキングの最高値を追うことではなく、自分の使い方にフィットさせることに尽きる。カタログは容量やWLTPの数字を大きく謳うものの、最終的に答えを出すのはやはり道路だ—今回の実測結果も、その現実を静かに示している。