18:36 19-11-2025
BMW特許に見るロールス・ロイスの分割ボンネット復活案とEV時代の実利
ロールス・ロイスが、20世紀前半に親しまれたクラシックなボンネット構成を蘇らせるかもしれない。2024年5月に出願され、WIPOのデータベースで公開されたBMW AGの特許文書には、別々のクロスメンバーに固定された二分割構造のボンネットを装着する手法が記載されている。書類にロールス・ロイスの名指しはないものの、図面は現行のファントムやゴースト、スペクター、カリナンの佇まいを明確に想起させる。もし実用化されれば、コーチビルドの伝統に礼を尽くしつつ、いまのデザイン言語とも矛盾しない巧みな一手に映るだろう。
文書は二つの構成を示している。ひとつは中央ヒンジ式のボンネット、もうひとつはフロントウインドウ根元に四つのヒンジを持つ分割パネルだ。どちらのレイアウトも、パワーユニットへのアクセスや、電気自動車であればフロントトランクの利用に向くという。メーカーの関係者は、リアコンパートメントにアクセスするために、限定モデルのボート・テイルで類似の手法をすでに採用したと述べている。こうした仕立ては、同社の儀礼的ともいえるボディ作法にしっくりと合い、アクセス性や現代のEVパッケージングの観点でも実利が見込める。使い勝手と所作の美しさを両立させる狙いが感じられる。