20:48 21-11-2025

ボルボ EM90を解剖:Zeekr 009由来のEVミニバンに北欧の個性

A. Krivonosov для Tarantas.News

Volvo EM90 は、白紙から生まれた純然たるスウェーデン車ではない。実態は Zeekr 009 ミニバンを仕立て直したものだ。ジーリー・ホールディングのモジュラー型プラットフォーム「SEA」を使うそのモデルは1年前に発表され、中国ではすでに販売中。ゼロからの開発というより計算ずくのリバッジだが、北欧流のひねりが効いている。

EM90 はボディを共有し、ホイールベースも3,205mmで Zeekr と同じ。主な違いは前後デザインにある。象徴的な“トールハンマー”型ヘッドライトと縦型テールランプで、ボルボのビジュアル言語にきっちり合わせた。全長5,206mm、全幅2,024mm、全高1,859mmという外寸は実質据え置き。ドア開口部はすべてキャリーオーバーで、ルーフのガラスセクションの造形も同様だ。空気抵抗係数は0.27で供与元と同値。見慣れたプロポーションでも、新しい顔つきとテールで“これはボルボだ”とすぐに伝わる。

A. Krivonosov для Tarantas.News

キャビンも同じ路線だ。EM90 専用のダッシュボード、ステアリング、トリムを与えられ、メーター表示はフードを廃する。一方で、全体の骨格や要所の配置は Zeekr を踏襲。15.4インチ画面のインフォテインメントは、グラフィックをボルボのブランド表現に合わせて作り替えている。最近の Zeekr に座ったことがあれば親しみやすく、ボルボ流の整理術で雰囲気はより端正に感じられる。

装備はエアサスペンション、アダプティブクルーズコントロール、そして自動運転機能の“入口”まで。駆動は後輪のみで、272馬力・343Nmの単一モーターに116kWhのベースバッテリーを組み合わせる。狙いは性能至上ではなく、まず快適というメッセージがにじむ。

A. Krivonosov для Tarantas.News

最高速度は現行ボルボと同様に180km/hでリミット。公称値では、2,763kgのミニバンが中国のCLTCサイクルで1回の充電あたり738kmを走行できるとしている。