12:02 26-11-2025
調査で読むEV普及の現実と神話: 安全性・価格・政策支援の本音
調査によれば、回答者のほぼ4分の3(77%)が、根強い“神話”の拡散がEVの市場浸透を大きく鈍らせているとみている。関心は日常利用時の安全性に集中し、なかでもバッテリー火災の可能性への不安が目立つ。数字をたどると、議論の起点が性能や利便性より不安のほうに寄っていることがうかがえる。
ところが実際のEVオーナーは別の景色を語る。調査でこうした主張を裏づけたのは約12%にすぎず、約88%はこの話が大きく誇張されていると受け止めている。認識と所有体験のギャップは、不安が現実よりも噂に駆動されている側面を示す。ここまで体験と印象が乖離すると、議論は空回りしかねない。
成長を止めるもう一つのブレーキは、買い手の懐事情だ。走行コストの低さというメリットは明快で、約45%が控えめなエネルギー消費をEVを選ぶ第一の理由に挙げた。一方で、多くの参加者(58%)にとって最大の障害は依然として高い購入価格。現実には、多くの世帯で「安く走れる」という約束よりも、目の前の購入費が重くのしかかる。結局のところ、良好なランニングコストだけでは財布は開かないということだ。
さらに、普及を一段と進めるには政府の後押しが不可欠だと考える人が、強い多数派である約83%に達した。提案としては、EVの所有にかかる税の軽減、充電インフラへの補助、そしてクリーンな車に対する追加の減税や購入時の割引が挙げられている。焦点は、負担の山をならし、使いやすさを底上げする施策をどう束ねるかにある。