間違ったタイヤはEVから50kmの航続を奪いかねない
専用か、何でもいいのか。高いのか、安いのか。三つの根強い神話が、あなたのEVが実際どこまで走れるかを左右する——そしてEuro 7が賭け金を吊り上げる。
電気自動車のタイヤをめぐっては、ひとつの「神話」がすっかりでき上がっている。EVオーナーなら誰もが、こうしたクルマには「専用」タイヤが要ると耳にしたことがあるはずだ。ところが、なぜ必要なのか——そもそも本当に必要なのか——を正しく理解している人はほとんどいない。
数字がそれを裏づける。UScaleが1500人を超えるオーナーに行った調査では、4人に3人がEV用タイヤの存在を知っていた一方、正しく選べるだけの知識があると感じている人は半数に満たなかった。要するに、多くはほぼ手探りで買っているのだ。
神話その一——EVにはどんなタイヤを履かせてもいい。形式上は間違いではない。荷重指数と速度記号さえ守られていれば、法律はわざわざEV専用モデルを選べとは求めない。だが、合法と最適は別物だ。EVはバッテリーのぶん、同クラスのエンジン車より200〜500kg重く、その質量がすべてゴムにのしかかる。だから摩耗は速まり、速いコーナーでの挙動、濡れた路面でのグリップ、そして何より航続距離に響く。ここでの鍵は転がり抵抗だ。低いほど、クルマが無駄に使うエネルギーは減る。
そんなに深刻なのか。コンチネンタルによれば、転がり抵抗を下げると航続は3〜4%伸びる。Auto Bildのテストでは、タイヤ違いで100kmあたり2.5kWh超もの差が出た——75kWhのバッテリーなら、最大50kmもの余分な距離に相当する。合わないゴムを履くだけで、その50kmをむざむざ捨てているわけだ。
神話その二——凶暴なほど大トルクのモーターが、タイヤをあっという間に削り尽くす。実際はもっと地味だ。現代のトラクション制御はミリ秒単位で駆動力を配分し、空転を抑え込む。ゴムを痛めつけるのはモーターのトルクではなく、車重、不適切な空気圧、狂ったアライメント、そして荒い運転だ。穏やかな加速、回生、こまめな空気圧チェック、そして正しい足まわりのジオメトリー——これだけで1セットは目に見えて長持ちする。
EVにはもうひとつ厄介な特徴がある——静けさだ。モーターが黙っているぶん、エンジン車では騒音に紛れていたタイヤのうなりが前面に出てくる。メーカーの答えが、タイヤ内側に仕込む吸音フォームだ。共鳴を抑え、体感騒音を最大9dB下げる。高速道路では、これはスペック表の一行ではなく、「静か」と「うなる」を分ける実感そのものだ。
神話その三——EV用タイヤはいつも桁違いに高い。差はあるが、たいていは10〜30%で、消費エネルギーの少なさと均一な摩耗で元が取れる。それでも万能の答えはない。良質な一般タイヤがEVで見事に働くこともあれば、安く不適合なモデルは、財布も航続も負ける賭けになる。
タイヤメーカーの市場の見方もさまざまだ。コンチネンタルはEV Compatibleの表示を用い、モデルを「エンジン車用」と「EV用」に必ずしも分けていない。ミシュランはe.PrimacyやPilot Sport EVを出したが、その後より汎用的な戦略へ戻した。
ピレリは勝負に出た。EV専用に開発したElect技術は、すでに500を超えるホモロゲーションを獲得している。グッドイヤーにはEV-Ready、ファルケンにはe.ZIEXというシリーズがあり、ブリヂストンはむしろ工場段階で特定モデル向けにタイヤを仕立てることが多い。そして2028年からは、これは好みの問題ではなくなる——Euro 7が動き出すからだ。
新ルールは初めて、タイヤそのものの摩耗に関する要件を導入する。乗用車用タイヤ(C1クラス)の新規型式認可では2028年7月1日から適用され、2030年7月1日以降は基準を満たさないタイヤを市場に出せなくなる。狙いは、これまでほとんど語られてこなかった、ゴムの摩耗による微粒子排出を削ることにある。
オーナーにとっての結論はシンプルだ。EVに厳密な「専用」タイヤが常に要るわけではない——だが、適したタイヤは間違いなく要る。サイズと値札だけでなく、荷重指数、転がり抵抗、ウェットグリップ、騒音、そして寿命を見てほしい。最初の1セットで浮かせたお金は、航続が落ち、摩耗が速まり、路面への食いつきが悪くなった瞬間に、たちまち消えてなくなる。