07:02 11-12-2025
フォードとルノーが欧州向け手頃なEVを2車種計画—フィエスタ後継はルノー5系採用、走りは独自チューニング
フォードは、ルノーと共同開発する欧州市場向けの「手の届きやすい」電気自動車2車種の計画を明確にした。この枠組みは、アライアンス由来の姉妹車を思わせるが、フォードは単なるバッジ替えではないと念を押す。おなじみの“フォードらしさ”を守るため、デザインに加え、サスペンションやステアリング、パフォーマンスのチューニング、ブレーキといった走りの要は同社が主導する。走りの作法で評価を築いてきたブランドだけに、そのこだわりは必然だ。
フォード・ヨーロッパによれば、両モデルは顧客にとって明確に差別化できる見通しだという。すでに一部のディーラーにはスケッチや最終デザインが提示されたとも伝えられる。2台のEVは2028年までの投入を予定。かなりタイトな工程であることを踏まえると、ルノーの既存アーキテクチャに寄りかかる構図が透けて見える。時間が味方しない局面では、プライドより実利がものを言う。
プロジェクトの一つはフィエスタの後継となり、ルノー5のプラットフォームを採用すると見込まれる。これにより、フォードは欧州で重要なBセグメントへの再参入を果たせる計算だ。生産はフランス北部のエレクトリシティ・コンプレックス(ドゥエ/モブージュおよび関連拠点)で行う計画で、同地では大規模なEV生産体制の立ち上げが進んでいる。
もう一方はルノー4の流れをくむ小型クロスオーバーになる可能性があるものの、像はなお形成途上だ。すでに電動版のプーマGen‑Eを抱えるだけに、同社の関心はプーマを核にレンジを広げることで、置き換えを急ぐ雰囲気ではない。より小さく都市志向のフォーマットを巡る議論もあるが、その製造拠点をどう描くかは簡単ではない。優れた企画と、適切な場所で形にする現実は、しばしば別問題だからだ。