23:21 11-12-2025
EV走行距離課金は公平か?カリフォルニアの試験導入と課題
カリフォルニア州が、ガソリン税の目減りに代わる財源として電気自動車(EV)所有者に走行距離課金を検討している。現在、道路維持費の約8割は燃料税に依存しているが、EVの比率が高まるにつれ、この収入は先行きが読みにくくなっている。
試験的なプログラムでは、EVドライバーに1マイル(約1.61キロ)あたり2〜4セントを課す方式を採用。地元メディアの試算では、ハンフォードとフレズノを往復する日常の移動で週に約11ドルの負担増になり得るという。打撃が大きいのは、農村部の住民や長距離通勤者だ。大都市圏の外では、EVで節約できるはずのコストがすぐに目減りしかねない。
肝心の走行距離の確認方法は、まだ定まっていない。距離だけを記録する専用トラッカーを車両に装着する案もあるが、そうなれば導入コストがかさむうえ、プライバシーへの懸念も避けられない。実装の手間が増えれば、制度への受容性にも影響するだろう。
カリフォルニア納税者協会のデイビッド・クライン氏は、道路を利用する人がその費用を負担するという考え方が基本だと述べつつ、この料金が追加負担の重い層にコストを押しつける可能性にも触れた。公平性と運用の落としどころを巡る議論はこれからが本番で、長距離を走るドライバーへの配慮と、確実な歳入確保をどう両立させるかが制度設計の要になる。拙速に踏み切れば、移動の自由度が高い地域ほど反発を招き、EV移行のうまみも薄れかねない。