15:18 22-12-2025

スズキ・フロンクス豪州販売停止の理由:ANCAP1つ星と後席ベルト不具合

スズキのコンパクトSUV「フロンクス」のオーストラリア販売が、クラッシュテストの失望すべき結果を受けて正式に停止された。独立評価機関のANCAP(Australasian New Car Assessment Program)による総合評価は5つ星中1つ星。衝突時における運転者と同乗者の保護に深刻な課題が露呈したかたちだ。安全スコアが購入判断を左右しやすいクラスだけに、この判定は軽くは受け流せない。

主因としてANCAPが指摘したのは後席シートベルトの不具合だ。試験中に後席のバックルが機能せず、ダミー人形の頭部が前席のシートバックに衝突。この一件で後席乗員の重傷リスクが大きく高まったという。管理された条件下でこうした破綻が起きると、新型車が備える他の長所はたちまち影が薄くなる。

チャイルドオキュパント保護も弱点だった。評価は満点比で約40%という厳しい数値にとどまり、近年のスズキ車の中でも最も低い結果とされた。プロトコルの厳格化を差し引いても、いまのユーザーが求める水準からは大きく離れている。

専門家はすでに納車されたフロンクスのオーナーに対し、原因の解明と安全性改善の措置が整うまで、当面は後席に子どもや大人を乗せないよう強く勧告している。現実的な助言だろう。後席の保護性能に対する信頼は、言葉ではなく検証済みの根拠で立て直すしかない。

販売停止の決定は12月20日に下された。いまのところフロンクスは市場から退き、スズキが不備を改め、規制当局が定める品質と安全基準に合致させるまで復帰はない。視線は解決策に集まる。どれだけ迅速に有効性を示せるかが、ブランドの真価を試す。