22:45 23-12-2025

フォルクスワーゲンが欧州のEV直販エージェンシー撤回、ディーラー主導に戻る理由

フォルクスワーゲンは、欧州全域で個人向け電気自動車の直販を担ってきたエージェンシーモデルを終了する。ディーラー団体との協議を経ての決定で、独紙ハンデルスブラットが伝えている。ドイツでは同社は昨年すでにこの方式から離れていた。

販売担当の取締役マルティン・ザンダー氏は、同社がディーラーの起業家的な役割を重視する姿勢を示し、その機能は単一の販売手法では置き換えられないと説明した。一方で、法人やフリート向けについてはエージェンシー方式が安定した成果を上げているとして、継続するという。

この枠組みは2020年に導入。テスラのやり方に着想を得て、価格設定とリスクはフォルクスワーゲンが引き受け、ディーラーは薄いマージンで仲介役を務める設計だった。

狙いはコストの引き下げと顧客との距離の近さ。しかし現実には課題が目立った。売れ残った多数のEVを自社の貸借対照表に抱え込むことになり、ディーラー側に約束された負担軽減も十分には実現しなかった。

さらに、内燃モデルと電動モデルで異なる販売スキームを走らせることは、不要な複雑さを生んだ。エージェンシー拡大の構想はあったものの、現場からの反発は大きい。結果としてフォルクスワーゲンは、クラシックなディーラー主導の販売へと回帰する。欧州の量販市場では、結局のところ地域の主導性と人間関係が強い——そんな現実を映した、現実的なピボットだ。今後数年のショーでのデビューが顧客に届く道筋にも影響を与えうる。