03:39 26-12-2025

Ampleが米破産法11条を申請—電池交換EVは急速充電普及で失速

ステランティスが支援した電動車のバッテリー交換事業が、始動からわずか6カ月で幕を下ろした。米国のスタートアップ、Ampleはテキサス南部地区連邦破産裁判所に米連邦破産法第11章の適用を申請している。

同社が提示したのは、従来の充電に代わる仕組みだ。専用ステーションに車を入れると、空になったバッテリーパックを満充電のパックと約5分で入れ替える。さらに、車両はバッテリーなしで販売し、パックはサブスクリプションで提供する構想も描いていた。

ステランティスはこの技術をカーシェアリングでの活用候補として検討し、Fiat 500eを使うFree2Moveの車両群への導入を計画していた。しかし市場は別の方向へ動いた。高出力の急速充電器が急速に普及し、多くのEVが約20分で航続距離の相当部分を取り戻せるようになった結果、運用コストが高く複雑な交換システムへの関心はしぼんでいった。5分での交換は紙の上では魅力的でも、潮目はより高速なプラグイン充電へとはっきり傾いた。日常の運用で選ばれるのは、結局のところわかりやすく、待ち時間の見通しが立つ手段だと感じさせる流れだ。

需要は期待に届かなかった。追加のサブスクリプション料金や、受け取るパックの劣化への不安が、サービスへの信頼を削いだためだ。Ampleはこれまでに約3億3,000万ドルを調達した一方で、約1億ドルの負債を抱え、資産価値は1,000万〜5,000万ドルとされる。

この撤退は米国内にとどまらない。スペインでは、秋に開設されたAmpleのステーションがすでに撤去されている。専門家は、充電インフラが成熟するにつれて、都市志向のEVはこうした代替ソリューションを次第に必要としなくなっていると指摘する。結末は都市型モビリティの定石を改めて示す。シンプルで予測可能なインフラは、凝った仕組みよりも息が長い。