01:44 03-01-2026

LFP搭載EVの正しい充電習慣: 月1回の100%でBMSを較正する理由

多くのEVユーザーは、バッテリー残量をおおむね80〜90%に保ち、長距離に出る前だけ100%まで充電する—そんなシンプルな習慣に従っている。ところがLFP(リン酸鉄リチウム)電池では、話が少し違ってくる。車両が出す案内からもそれがわかる。Mustang Mach‑Eの一部グレードでは、フォードが少なくとも月に一度は100%までの充電を勧めており、LFPを搭載するテスラに関しては、長いあいだ充電上限を100%に設定し、週1回は満充電に達するよう推奨していた。

誤解しがちだが、「LFPの化学が高い充電率を好む」わけではない。肝心なのはバッテリー・マネジメント・システム(BMS)だ。BMSは電圧・電流・温度から状態や航続可能距離を推定する。しかしLFPは中間の領域で電圧カーブが比較的フラットなため、定期的な100%充電を省くと正確な較正が難しくなる。満充電まで持っていくことでBMSが上下の境界をリセットでき、残量表示やどこまで走れるかの見積もりがより信頼できるものになる。

LFPは一般に製造コストが低く、熱的に安定しやすく、寿命も長くなりがちだ。一方でトレードオフもある。エネルギー密度が低いため同条件なら航続距離は短くなり、厳しい寒冷時の性能も落ちやすい。だからこそLFPは、標準仕様のTesla Model 3/Model Yや他モデルのベースグレードといった、手の届きやすいバリエーションで採用されることが多い。電気自動車をより身近な選択肢へと引き寄せる役割を担っているわけだ。

とはいえ、いつでも100%が正解というわけでもない。満充電を頻繁に繰り返すと、セル内部で望ましくない反応が進みやすいことを示すデータもある。とはいっても、実際の使用環境では、定期的に100%まで充電していても容量劣化が軽微にとどまっているLFP車が少なくないのも事実だ。結局のところ、頼るべきは自分のクルマと取扱説明書。メーカーが「週に一度」や「月に一度」の100%を求めるなら、その指示に従うのが賢明だろう。誰かの一般論より、その車両が要求するメンテナンスのリズムに合わせるほうが、日常の使い勝手と安心感のバランスは取りやすい。