中国のLeapmotor(リープモーター)は欧州での存在感を着実に広げながら、最も手頃な電動クロスオーバーとなるA10の投入を準備している。すでに知られるB10の一段下に位置づけられ、プジョー e-2008やフォルクスワーゲン ID.2 Crossが先行する予算重視の都市型SUVの領域で、同ブランドの柱となる見込みだ。欧州での展開を広げる局面で、手堅く計算された一手という印象を受ける。

公開された特許画像からは、ひと目でわかる現代的な意匠が見て取れる。ヘッドライトは上級のC10を連想させ、シルエットはわずかにクーペ調の色気を帯びる。リアピラーの処理はシトロエンやフィアット500Lを思い起こさせる要素があり、全体のパッケージとプロポーションは日常使いを強く意識。見た目は肩肘張らず、狙いに沿ってよく練られている。

ディテールで目を引くのは、充電ポートが左フロントフェンダーへ移されたこと。これがA10を同社の他モデルとさりげなく差別化している。ネーミングはシンプルで、数字の「10」がSUVを示し、先頭の文字がモデル階層を表すという整理だ。この流れの中でA10は、コンパクトなT03とミドルサイズのB10の間をきっちり埋め、より身近な導入点となる。

技術データはまだ伏せられているものの、同社らしいレシピは想像できる。装備は充実し、航続距離は競争力を意識し、価格は最大で約2万5000ユーロに収まる見立てだ。これが現実になれば、A10は2026年に欧州でもっとも手頃な電動クロスオーバーの一角に躍り出て、セグメントの競争を一段と引き締めるはずだ。