フォードが、規模の点で異例となるリコールを発表した。対象はわずか2台、2025年型マーベリックと2025年型エスケープだ。原因は供給過程での取り違え。2基の電動ブレーキブースターに、誤表示された梱包から生産現場へ紛れ込んだ不適合のコントロールモジュール用カバーが装着されていた。設計が合っていなかったため、モジュール内部の温度が許容値を超えて上昇し、回路基板の損傷やブレーキアシストの喪失につながるおそれがある。この場合、ABSや車両安定化制御、トラクションコントロールも使えなくなる。

問題が表面化したのは9月10日、フラットロック工場で、ブースターが検査治具に適合せずに発覚した。サプライヤーのAumovioが取り違えを確認し、フォードは社内調査で追った。これまでに事故や負傷の報告はない。オーナーへの通知は11月28日までに行われ、ディーラーでアセンブリー一式を無償交換する。規模は極小でも、原因は示唆的だ。誤表示のコンテナひとつが安全に直結するシステムへ波及し得る——だからこそ治具による確認とトレーサビリティが要となる。現場では「念のため」を積み重ねるしかないと感じさせる。

マーベリックはメキシコ製、エスケープは米国製で、いずれも2025年6月にラインオフしている。フォードがラインアップの大幅刷新を進め、共通EVプラットフォームへの移行準備をする中で、今回の件は、単発の見落としであっても厳格な監視と迅速な是正が欠かせないことを改めて思い起こさせる。