フォルクスワーゲンID.Buzz電動キャンパーeVentjeの特徴と装備

eVentje は、いまのキャンパーシーンでもひときわ存在感のある新顔だ。オランダの Ventje は電動の Volkswagen ID.Buzz をベースに、コンパクトなサイズ感を守りつつ、必要に応じて姿を変えるインテリアを与え、4人で使える“走る住まい”へと仕立てている。

狙いは、最小限の空間で最大の使い勝手を引き出すこと。キャビンはモジュール式コンポーネントと100以上のマグネットマウントで構成され、ラウンジは瞬時にワークスペース、ダイニング、あるいはダブルベッドへと変身する。メインキャビンのベッドは標準で、ポップアップルーフには追加の就寝スペースをオプション設定する。

キッチンは後部に配置。装備は充実しており、IHクッキングヒーター、大型冷蔵庫、給水付きシンクに加え、外側からも室内からもアクセスできる引き出しを備える。リアゲートを開けて外で1人、車内でもう1人――2人が同時に調理できるのも嬉しい。ギャレーのほぼすべてのパネルがカウンターやオーガナイザー、収納へと役割を変え、見せ場づくりよりも実用本位でまとめられているのが好ましい。

室内には、折りたたみ式テーブルとチェアをしまえる隠し収納、オットマンになるソフトモジュール、さらにビルトインのトイレまで備わる。屋外でくつろぐための装備としては、オーニングやカーテン、換気機能、そして自然素材の仕上げを用意。週末用の道具にとどまらず、小さなアパートのように感じさせる細部が効いている。

電源まわりの設計も抜かりない。350Wのソーラーパネル、2.2kWインバーター、専用の2.16kWhバッテリーに外部電源接続を組み合わせる。ベースとなるID.Buzzの実用航続距離はおよそ375kmで、数日間の自立した旅に対応できる余裕がある。

価格は9万5,000ユーロから。確かに安くはないが、eVentjeは限られたスペースを余すところなく使い切り、本格的なモバイルホームへと変わる数少ないキャンパーバンのひとつだと感じさせる。