イタリアのコーチビルダー、ErreErre Fuoriserieがフォルジオットを公開した。ジオット・ビッザリーニの空力理論を手がかりに形づくられた少量生産モデルで、アルミのハンドメイドボディは“ブレッドバン”の精神を色濃く映す。生産は5台限定、価格は€690,000から。デリバリー開始は2026年8月の予定だ。

開発は、ビッザリーニがIso A3/Cに携わっていた頃の試行を土台にしている。特徴は、抗力とリフトを抑えるために切り落としたロングテール。速度域が上がるほど安定性に効いてくる考え方で、造形としても理にかなう。

エッレエッレ・フオリセーリエ フォルジオット
erreerrefuoriserie.com/forgiotto

外装はAzzurro Nuvolaの淡いブルーに、15インチホイールとサイドのエアインテークがアクセントを添える。キャビンは走りに照準を合わせ、ウッドリムのステアリング、アナログメーター、必要最小限のトリムでまとめた。抑制の効いた色使いがシルエットを引き立て、アナログ中心の配置は視線を運転そのものへ導く。

心臓部は最大400hpを発する5.4リッターのシボレー327 V8。組み合わされるのはボーグワーナー製4速ギアボックスだ。車重は約1,200kgで、最高速度は250km/h超とされる。大排気量V8に4速、軽い車体という古典的な処方は、スペックの羅列よりも、純度の高いドライブフィールを優先する選び方に思える。

製作はIso Restorationsと連携し、オリジナルコンポーネントを用いて進められている。クラシックな意匠と現代的な手法の掛け合わせは希少車愛好家の関心を集め、コーチビルドの世界でこのプロジェクトの個性を際立たせている。