GMのEVに乗っていて、後席フロアの吹き出し口から風が出ないと気づいたなら、原因は想像より単純かもしれない。多くの場合、空調の故障ではなく、省電力を狙った「ECOクライメート」機能が意図どおりに働いているだけだ。

ECOクライメートは、どの席に人が座っているかを自動で判断し、空席には風量をしぼる。これで空調の消費電力を抑え、航続距離の伸びに寄与する。電力の一滴まで意識する2026年の発想に沿った、EVならではの割り切りだ。

GMの公式マニュアルでも、ECOクライメート作動時はシステムが風の配分を自律的に管理すると説明している。後席に着座が検知されなければ、そのエリアの送風は止まる。

設定はインフォテインメントのメニューから行える。Settings — Vehicle — Climate and Air Quality — ECO Climateで、手動でオン/オフの切り替えが可能だ。対象はBEV3およびBT1プラットフォームを用いる新しいGMのEVが中心。

具体的にはCadillac Lyriq、Optiq、Celestiq、Escalade IQ、Chevrolet Blazer EV、Equinox EV、Silverado EV、GMC Sierra EVなど。一方でHummer EVやBrightDropのバンなど一部モデルは非搭載となる。

オーナーの中には、いわば非公式の対処法として、ECOクライメート作動中でも後席のシートベルトを差し込めば後方への送風が復活すると報告する人もいる。とはいえ省エネの意図には反するため、後席に乗員がいて継続的な送風が必要なときは、素直に機能をオフにするのが現実的だ。

ECOクライメートの一件は、最新のEVが「いつもの振る舞い」を効率のために置き換えつつある現実を示している。予備知識がなければ故障のように感じても無理はないが、これは狙いを持った設計判断だ。だからこそGMは、こうした機能をもっとわかりやすく伝えるべきだろう。送風が制限されている旨をタイミングよく知らせる短い案内が画面に出るだけでも、販売店への無用な相談やオーナーの戸惑いはぐっと減る。