新型車はない。新型エンジンもない。それでも中東のエスカレード一族は、昨日までとは別物になった。キャデラックが旗艦SUVをすべて一つの看板の下にまとめたのだ。その名はエスカレード・コレクション。
これは新型モデルでもなければ、独立したグレードでもない。技術的には並べる理由などないものを一つのラインアップに束ねるための、地域戦略である。自然吸気V8、スーパーチャージャー付きの怪物、そして電動の巨人が2車種。
一族に名を連ねるのは、標準のエスカレード、スポーツ仕様のエスカレードV、そして電気自動車のエスカレードIQと、ホイールベースを延長したエスカレードIQLだ。4車種。名前は一つ。ボンネットの下はまるで別世界。
エスカレード・コレクションは、電動のIQとIQLが中東市場に投入されたのと同時に生まれた。2026年6月、サウジアラビアのキャデラック正規ディーラーであるAljomaih Automotiveがジッダで両モデルを披露し、拡大した一族の一員だと宣言した。買い手に示されたのは選択肢だ。従来のガソリンのエスカレードか、獰猛なエスカレードVか、長さの異なる2種類の電動版か。
技術的には、この4車種はまったく別物のままである。ガソリンのエスカレードは6.2リッターV8で420馬力。エスカレードVは排気量こそ同じだが、スーパーチャージャーを加えて682馬力に達する。電動のエスカレードIQはベロシティマックスモードで最高750馬力を発生し、中東仕様の公称航続距離はメーカーの標準試験方法で724kmに届く。延長版のIQLは最大708kmをうたう。UAEでの電動版の価格は586,000ディルハムから、約159,600ドルだ。
つまりキャデラックは、伝統のエスカレードを電気自動車の下に葬るつもりはない。用途ごとに版を振り分けているだけだ。V8が欲しいのか。ならばV8がある。682馬力が欲しいのか。持っていけばいい。静粛性と724kmが欲しいのか。それも可能だ。名前は変わらない。変わったのは商品構成であって、すでに発表済みのクルマの中身ではない。
キャデラック・エスカレードは、APEAL 2026調査でJ.D.パワーのセグメント賞をすでに獲得している。