クルマを売る部品がある。一方で、買い手が決して気づかない部品もある——そして、まさにそれがクルマを静かにする。新型レクサスRZには、そんな部品が加わった。住友理工は、高剛性ウレタン製のeAxleカバーを量産トヨタ車に初めて採用したと発表した。しかも、その舞台は電気自動車のレクサスだ。
話題はeAxleユニットのカバーだ。電気自動車の「心臓」とも呼ばれるこの部分には、電気モーター、減速機、パワーエレクトロニクスが一つのブロックに収められている。ここに電気自動車のパラドックスがある。クルマが静かになるほど、かつてガソリンエンジンの轰音がかき消していた音が際立ってくるのだ。エンジン音がない——だからこそ、駆動系の甲高い音、振動、細く高い周波数のうなりが前面に出てくる。静けさを巡る戦いは、分厚い車内の遮音材だけでなく、モーターまわりの細部でも繰り広げられる。
カバーそのものは「高剛性ウレタン」で成形されている。以前はこの種のカバーをプラスチックとウレタンの組み合わせでつくっていた——素材は二つ、工程も二つ、そのぶん重い。いま住友理工は、同等の吸音性能を単一素材で実現すると約束する。おまけにeAxleへの取り付けはより簡単になり、質量は減り、生産段階でのCO2排出まで抑えられるという。
些細なこと?紙の上ではそうだ。だが、いまやプレミアムな電気クロスオーバーは、航続距離と画面の大きさだけで売れる時代ではない。売り物は静けさの感覚だ。メルセデス・ベンツEQE SUV、BMW iX、アウディQ8 e-tronでは、音の快適性はとうに価格に織り込まれている——そしてレクサスは、プレミアムを形づくる細部で負けるわけにはいかない。